第205話

ドアの音がした瞬間、アルファのセバスチャンは母親かイザベラだろうと思った。

だが入ってきたのはセレナだった。

顎がきゅっと強張る。「あとでかけ直す」そう言って通話を切り、携帯を机の上に置いた。「何の用だ」

「病院から戻って家にいるって聞いたの」セレナは小さく、心配そうに笑った。「様子を見に来たのよ」

彼は想像していた以上にひどい顔をしていた。顔色は青白く、頬はこけ、ノートパソコンの脇には手つかずの朝食のトレーが置かれている。

セレナは十代の頃から彼を知っている。十年ものあいだ、彼は彼女の人生の一部だった。だから今でも、どこかで彼を気にかけてしまう。

けれど、いま彼が向けてくる視線は冷た...

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